最悪の場合死亡するケースもある「腸管出血性大腸菌O157」。
亡くなった方のニュースを見ると他人事とは思えませんよね。
O157は、腸管出血性大腸菌の代表的な細菌です。
普通の食中毒菌よりも感染力が強く、100個程度の少ない菌で発症します(一般の食中毒は約100万個)。
多発する時期は初夏から初秋ですが、他の食中毒に比べると気温が低い時期でも発生しています。
一年中気をつけなければならない細菌ですね。
今回は、
- O157の感染経路、人から人へ感染するのか
- 原因となった食品は?
- 発生件数は?
- 野菜はどうやって気をつける?
- O157を予防するには?
など、O157を代表とする「腸管出血性大腸菌」について気になることをお伝えします!
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O157の感染経路!人から人へ感染するの?
O157の感染経路は「家畜の糞便」→「水や食物」→「人」で、人から人へも感染します。
日本医師会HPで、次のように記載されていました。
O157は家畜(牛・羊・豚など)の大腸をすみかとしています。
汚染は家畜糞便から水や食物を介して感染したり、感染した人から人へ感染します。
人から人へも感染・・・。
空気感染はするのでしょうか?
空気感染はしませんので、同じ部屋にいた、というだけでは感染しません。
空気感染はしないようですね。
ちょっと安心しました。
感染者と同じ部屋で過ごしただけで焦る必要はありませんが、看病する時は気をつけてください。
感染者の便や嘔吐物を処理する際に感染したり、ウイルスがついたドアノブを触り、その手で口を触ったりすると感染する可能性があります。
便や嘔吐物の処理をする時は、手洗い消毒はもちろん、使い捨ての手袋を使用しましょう。
腸管出血性大腸菌が最初に発見されたのは昭和57年(1982年)です。
アメリカオレゴン州とミシガン州で、ハンバーガーによる集団食中毒事件の患者の糞便から見つかりました。
ハンバーガーから感染って意外ですよね。
O157の原因食品はどういったものがあるのでしょう?
O157の原因食品は?
O157の感染事例の原因食品と特定または推定されたもはこちらになります。
■日本国内
- 井戸水
- 牛肉
- 牛レバー刺し
- ハンバーグ
- 牛角切りステーキ
- 牛タタキ
- ローストビーフ
- シカ肉
- サラダ
- かいわれ大根
- キャベツ
- メロン
- 白菜漬け
- 日本そば
- シーフードソース
- ユッケ
- 冷やしきゅうり
- きゅうりの和え物
■海外
- ハンバーガー
- ローストビーフ
- ミートパイ
- アルファルファ
- レタス
- ほうれん草
- アップルジュース
参考:厚生労働省 腸管出血性大腸菌Q&A「腸管出血性大腸菌はどこからうつるのですか?」
上記の食品を見る限り「この食品が危険」と思えるような統一性はありませんね。
アメリカで発生した生の食中毒事例では、感染原因となったほうれん草を回収したり、生のほうれん草を食べることを避ける勧告を行ったこともあるそうですよ。
アメリカの事例の場合、ほうれん草の汚染原因は、菌を持つイノシシが農場に入ったことによると推測されています。
発生件数はどのくらい?
O157の発生件数はこちらになります。
画像引用:厚生労働省 腸管出血性大腸菌Q&A
平成28年の死亡者数が多いのは、複数の老人ホームで同じ給食事業者が提供したものを食べた方が亡くなっているからです。
この時は、「きゅうりのゆかり和え」と患者の便から同一遺伝子型のO157が検出されました。
O157の予防のひとつに「加熱」がありますが、サラダなどの場合は加熱が難しいですよね。
老人ホームでたくさんの感染者が出たことで、厚生労働省は次のように指導しています。
今般の事案を踏まえ、特に高齢者などに食事を提供する施設への指導にあたり、野菜を加熱せずに供する場合には、次亜塩素酸ナトリウム等による殺菌を徹底するよう指導方よろしくお願いします。
生野菜も殺菌できるようです。
野菜はどのように気をつけたらいいのか見ておきましょう。
野菜はどうやって気を付ければいいの?
野菜で気をつけることはこちらになります。
- 新鮮なものを購入して冷蔵庫で保管する
- ブロッコリーやカリフラワーなどの形が複雑なものは熱湯で湯がく
- レタスなどの葉もの類は1枚ずつはがして流水で洗う
- きゅうりやトマト、りんごなどの果実も洗い、皮をむいて食べる
- 食品用の洗浄剤や次亜塩素酸ナトリウムなどを使ったり、加熱すると殺菌効果は高まる
参考:厚生労働省 腸管出血性大腸菌「野菜にも気をつけた方がよいのでしょうか?」
「新鮮なものを購入」「冷蔵庫で保管」「流水でしっかり洗う」「加熱する」などが基本ですね。
レタスなどの葉ものは1枚ずつはがして洗ってください。
サラダなどの生野菜は食品用の洗浄剤を使うとより安心です。
次亜塩素酸ナトリウムを使った生野菜の消毒方法がありますが、家庭では食品用の洗浄剤のほうが手軽でしょう。
熱湯で湯がく時間については、次のように記載されていました。
野菜の腸管出血性大腸菌を除菌するには、湯がき(100℃のお湯で5秒間程度)が有効であるとされています。
100℃のお湯で5秒程度、サッと湯がけば大丈夫です。
ちなみに、電子レンジで加熱しても菌は死滅します。
レンジで調理する時も、食品全体をむらなく75℃で1分間以上加熱すれば、菌は死滅します。
食品全体をむらなく75℃で1分間以上加熱すれば菌は死滅するみたいですね。
しかし、ただ温めるだけでは死滅しません。
「調理時間に気をつける」「レンジ専用の容器を使い蓋をする」「熱の伝わりにくいものは途中でかき混ぜる」などで、全体をむらなく温めてください。
「O157は調理する時に気を付ければ大丈夫なんでしょ?」
こう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、違います。
実は、食品を購入する時から気をつけることがあるんですよ。
O157の予防法は?
食中毒予防の原則は、食中毒菌を「付けない」「増やさない」「殺す」です。
厚生労働省HP「腸管出血性大腸菌Q&A」に記載してある予防法をまとめてみました。
【1.食品を購入する時】
- 生鮮食品(魚、肉、野菜など)は、新鮮なものを購入する
- 賞味期限を確認し購入する
- 購入したら肉汁や魚の水分がもれないようにビニール袋に分けて持ち帰る
- 冷凍や冷蔵の温度管理の必要な食品は買い物の最後にし、早めに持ち帰る
賞味期限はほとんどの方が気にして購入すると思います。
ズボラな私でもそこは見逃しません(・・;)
食品を買った後に買い忘れを思い出して全然違う売り場に移動することはあります。
これはやめておいたほうがいいですね。
【2.家庭で保存する時】
- 冷凍や冷蔵の食品は持ち帰ったらすぐに冷蔵庫へ
- 冷凍庫や冷蔵庫の詰めすぎ注意(目安は7割)
- 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はマイナス15℃以下に維持(時々温度計で計る)
- 肉や魚はビニール袋や容器に入れて、他の食品に肉汁などがかからないように
- 肉、魚、卵を扱う前と後に手を洗う
- 食品を流し台の下に保管する時は水漏れに注意
冷蔵庫の温度を温度計で計ったことはありますか?
もしも冷蔵庫に表示されているのと全然違ったらビックリですね(・・;)
詰めすぎ注意は耳が痛いです。
まとめ買いをするので冷凍庫は肉でパンパンになっています(T_T)
【3.下準備】
まずは、調理前に以下をチェックしてください。
- 台所のゴミは捨ててあるか
- タオルは清潔なものか
- 石鹸は準備してあるか
- 調理台は片付けて広く使えるか
- 井戸水を使用している家庭は水質に注意
調理する環境が清潔であることが大切ですよ。
【4.手洗い】
- 生の肉、魚、卵を触ったら手を洗う
- 調理途中で「ペットを触る」「おむつ替えする」「トイレに行く」「鼻をかむ」などをしたらそのつど手を洗う
我が家の猫は、調理中に私の足元にやってきて座ります。
「ニャー」と言うとつい撫でてしまうのですが、きちんと手を洗わないといけませんね。
【5.調理】
- 生の肉や野菜の汁が調理済みの野菜にかからないように
- 包丁やまな板は、肉、野菜、魚で使い分ける
- 包丁やまな板の使い分けをしない場合は、洗ってから熱湯をかけて使う
- ラップしてある野菜やカット野菜もよく洗う
- 冷凍食品の解凍は冷蔵庫か電子レンジでする(室温解凍は菌が増える場合も)
- 水を使って解凍する場合は気密性の容器に入れて流水で
- 解凍した食品はすぐに調理(解凍するのは使う分だけ)
- 解凍して使わなかった食材を冷蔵庫に戻さない
- 包丁、食器、まな板、ふきん、タワシ、スポンジなどは調理後すぐに洗剤と流水で洗う
- 包丁、食器、まな板は洗った後に熱湯消毒を
- タワシ、スポンジは煮沸消毒をする
- ふきんは一晩漂白剤につけ込むと消毒効果がある(汚れがひどい場合は交換)
包丁やまな板の熱湯消毒は手軽にできますね!
スポンジは、3分の1に切って使うのがおすすめです。
ちょっと汚れてるなーと思ったら気軽に捨てることができますよ^ ^
【6.加熱】
- 食品を十分に加熱する(中心部の温度が75℃で1分)
- 料理を途中でやめる時は、放置しないで冷蔵庫へ
- 電子レンジを使う時は電子レンジ用の容器を使い、蓋をして調理時間に気をつける(時々かき混ぜて熱を伝える)
食品の加熱は食中毒予防の基本ですね。
【7.食事】
- 食事の前は手を洗う
- 清潔な手で清潔な器具を使い清潔な食器に盛り付ける
- 温かくして食べる料理は温かくして食べる(目安は65℃以上)
- 冷たくして食べる料理は冷たくして食べる(目安は10℃以下)
- 調理前後の料理は室温に長く放置しない(O157は室温でも15分~20分で20倍に増える)
- 乳幼児やお年寄りには加熱がじゅうぶんでない食肉などを食べさせない
我が家は外出から帰ったら手を洗う習慣はありますが、食事の前の手洗いは習慣になっていません(・・;)
子供達によく言い聞かせないといけませんね。
【6.残った食品】
- 残った食品を扱う前も手を洗う
- 残った食品は浅い容器に小分けして保存(早く冷えるように)
- 時間が経ち過ぎたら思い切って捨てる
- 残った食品を温め直す時も十分に加熱する(目安は75℃以上)
- 残った味噌汁やスープを温め直す時は沸騰するまで加熱する
- ちょっとでもあやしいと思ったら捨てる(口をつけない)
時間が経ち過ぎたら思い切って捨てるのは大事です。
私が中学生の頃、冷蔵庫にあった手作りコロッケを食べて食中毒になったことがあります(T_T)
母の得意な豆腐コロッケでした。
フラフラになって早退しましたよ(・・;)
冷蔵庫にある古いものはきちんと処分しないといけませんね。
まとめ
今回は、O157の感染経路や予防法をお伝えしました。
以下がまとめになります。
- O157の感染経路は「家畜の糞便」→「水や食物」→「人」
- 人から人へも感染するが、空気感染はしない
- O157の予防法は「手洗い」「消毒」「加熱」
- 食材を購入する時から気をつける
O157予防は食材を購入するところから始まっています。
家族みんなの食事を作る世の中のお母さん達は責任重大ですね!
我が家の場合、まずは冷蔵庫の中の大掃除から始めようと思います。
賞味期限切れの調味料やいろいろ出てくる冷蔵庫・・・。
かなりの気合いをもって挑まなくては(T_T)
O157の原因食材などもお伝えしましたが、その食材を避けてどうにかなるものではありません。
消毒、手洗いなどがしっかりなされていなければどの食材も同じです。
食中毒予防の基本を忘れずに、楽しく美味しい食卓にしてくださいね^ ^
あなたとご家族が、これからも笑顔で過ごせますように☆
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