「仕事を辞めたい」
「もう限界だ」
「人間関係がつらい」
「仕事辞めたいけど次がない」
一日の大半の時間を使う「仕事」。
つらくて仕事を辞めたい、でも辞められない。
すごく悩みますよね。
ですが、限界がきてからでは取返しのつかないことになる可能性もあります。
私の兄は40歳そこそこで亡くなりました。
自死ではありませんが、精神が壊れたことが発端です。
兄はとても真面目な性格でした。
「仕事を辞めたい、限界だ」と感じてるかたに、優先していただきたいことをお伝えします。
兄のおいたちなど
幼少期
父は自営で市議会議員、母は自営を手伝っており、基本的に祖母が自宅にいるという環境で育ちました。
姉と、妹である私の真ん中に兄が生まれています。
小学生の頃は、勉強が苦手なようでした。
忘れ物もよくあり、集中力がないと父にしょっちゅう叱られていたのを覚えています。
思春期
中高生になると、いつも兄の部屋に友達が集まっていました。
兄も含めて勉強そっちのけの仲間。
当然テストの点数はボロボロです。
彼女も遊びに来たりして、私に紹介してくれました。
すごく可愛い彼女です。
高校2年の時、兄は彼女にふられてしまいます。
そこから兄は激変しました。
友達と一切遊ばなくなり、猛勉強を始めたんです。
学校から帰宅したら、ほどんどの時間を勉強に費やしていました。
この頃、父の会社が倒産しています。
私は親戚の家に預けられました。
兄はもうすぐ卒業だということでそのまま自宅に残り、卒業後は一人暮らしをしていた姉と一緒に住んでいました。
そして、一浪の末、都内の一流と呼ばれる大学に進学しています。
ちなみに、お金がなかったので予備校には通わず、バイトしながら勉強していました。
大学時代
奨学金を借りており、工場などで夜勤のバイトもしていたので、疲労がたまりすぎて勉強がおろそかになっていると言っていました。
サークルに所属することもなく、キャンパスライフを楽しむ感じではありませんでした。
そもそも、そんな余裕はなかったのだと思います。
弁護士を目指していましたが、司法試験にチャレンジすることなく一般企業に就職しました。
社会人時代
2年も経たないうちに、就職先の会社が倒産しました。
地元に帰り再度就職活動をして、わりとすぐに決まっています。
職種はふせておきますが、高卒の人が多い会社でした。
兄が大卒だからなのか、いきなり責任のあるポジションを任せられています。
休みだろうと、会社から携帯に連絡がありました。
自分より在籍が長い人を動かさないといけなかったり、かなりプレッシャーだったと思います。
その頃から、兄は徐々に壊れていきました。
当時私は一緒に住んでいなかったのですが、久しぶりに会うと「俺が死んだら保険金はお前がうけとってくれ」とか、そういうことを言うようになっていたんです。
退職
心身が限界だと感じたのでしょう。
兄は会社を辞めて精神科に通うようになりました。
最初は鬱、のちに双極性障害と診断されています。
繰り返す入院、本人が苦しいのはもちろんですが、実家で一緒に暮らしていた両親も苦労しました。
唯一の救いは、担当医がとてもいい先生で、兄はその先生をとても信頼していたことです。
すぐにではありませんが障害年金をいただけることとなり、「お金をなんとかしなくては」という兄の心の負担は減りました。
とは言え、状態がよくなったかと言えばそうでもありません。
かなり波がありました。
ありもしないであろう話をハイテンションでしてきたかと思えば、数日後にはすごく沈んだり。
父と折り合いが悪く、壁やタンスが壊れるほどの大喧嘩も何度もありました。
自宅で暴れたりするので、警察が幾度となく自宅にきています。
ただ、ひとさまに対してなにかをするような人ではありませんでした。
捨て猫をとてもかわいがる、根はとても優しい兄だったんです。
退職してから十数年、兄の闘病生活は長く続きました。
「離れて暮らした方がいい」
担当の先生が両親と兄を説得し、兄は一人暮らしをするようになりました。
一人暮らしをする少し前、兄は糖尿病にもなっています(体型は細めです)。
一人暮らし
この頃の兄は、以前に比べると安定しているように見えました。
父と離れたのが良かったんだと思います。
母は定期的に掃除をしにいったり、食事を届けたりしていました。
一人暮らしで荒れた生活をするわけでもなく、通院は欠かさずしており、部屋はそれなりに片付いていたようです。
調子がいい時は自炊をしていました。
突然の死
「お兄ちゃんが死んだよ」
母から電話で言われた時、最初なんのことかわかりませんでした。
その後、なにを話したか覚えていません。
母の声がすごく優しかったのは覚えています。
なんというか、力のある声でした。
いつも連絡してくる兄が全く連絡してこないのをおかしいと思い、兄の部屋に行った父と母。
布団の上で、兄は死後数日経っていました。
母はとても兄を大事にしていたので、そんな姿を見た母の衝撃を想像したら今でも苦しいです。
警察と病院によると、事件性はない、自死でもないということでした。
亡くなる数週間前、姉と兄が電話で話をしています。
姉は、「心配だから、一人暮らしやめてこっちにおいで」と声をかけたそうです。
そんな矢先に兄は亡くなってしまいました。
「仕事を辞めたい」「限界」だと思ってる人に優先して欲しいこと
兄のおいたちが長くなりましたが、「仕事を辞めたい」「限界だ」と思っているかたに優先していただきたいことがあります。
それは、「心身の健康を最優先に」ということです。
「自分は壊れたりしないよ」
兄も、まさか心が壊れるとは考えていなかったと思います。
兄の性格をよく知る私もそう思っていました。
「限界だ」
そう思った時は、すでに限界を超えているかもしれません。
一度壊れてしまったら、心はなかなか元には戻らない。
兄を見てそう思いました。
兄は、「仕事をしないといけない」という気持ちが常にありました。
「仕事を辞めたいけど次がない」
そう思って辞められないかたも多いと思います。
無責任かもしれませんが、その先のことはとりあえず置いといて、ご自分の心身の健康を優先なさってください。
最後に
「ハイパーエリートじゃん」
高校生の息子が、兄の話をした時に言いました。
息子は、勉強そっちのけで友達と楽しい日々を過ごしています。
あまりにも成績が悪い時にくどくど叱ってしまい、「でも、ほんとに大事なのは友達と楽しい日々を送ることだからね」と言いました。
「ハイパーエリート」
それがいったいなんの意味があるのでしょう。
兄は友達が一人もいませんでした。
孤独だったと思います。
「仕事を辞めたら、バイトしかないかもしれない」
バイトでもいいじゃありませんか。
心身が壊れてしまったら、今よりもっと苦しみます。
「辛い毎日なら仕事を辞めたらいい」
「次がないかもしれないのに無責任なことを言うなよ」と思われるかもしれません。
ですが、数年たった今も兄の死を受け入れることができていない私としては、どんな形であれご自身の心身の健康を最優先にしていただきたいと、心から思います。
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