「ひじきを食べると寿命が縮まるらしいよ」
お弁当にひじきを入れた日の夜、主人が言いました。
「なんで?」
「理由は知らない。見出しだけ見た」
何やら記事を見て「ひじき=危険」と思っているようです。
調べてみると、ひじきに含まれているヒ素が理由だとわかりました。
学校の給食で食べたひじきが美味しかったと言う娘のリクエストで購入したひじき。
「学校の給食にそんな危険なものは出さないでしょう」
そう思ったものの、ひじきに含まれるヒ素の危険が気になってきました。
今回は、
- ひじきに含まれるヒ素は危険?どのくらいなら大丈夫?
- ヒ素って何?ひじきに含まれているのはなぜ?
- ひじきのヒ素を除去する方法は?
- ひじきの栄養は?
など、ひじきに含まれるヒ素の危険について気になることをお伝えします!
「ひじき大好きなんだよねー」って思ってる方の参考にしていただけると嬉しいです(*^^*)
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ひじきに含まれるヒ素は危険?どのくらいなら大丈夫?
ひじきを普通に食べるのは危険ではありませんが、過剰摂取は控えるべきです。
週に小鉢1杯程度のひじきなら問題ないと考えられます。
厚生労働省HPには以下のように記載されていました。
- 体重50kgの人の場合、毎日4.7g、1週間当たり33g以上を継続的に摂取しなければ暫定的耐容週間摂取量を超えることはない
- 国民栄養調査によれば、ひじきの1日の摂取量は1人当たり約0.9g
- 海藻中に含まれるヒ素によるヒ素中毒の健康被害が起きたとの報告はない
- ひじきは食物繊維や必須ミネラルを豊富に含んでいる
- 極端に摂取するのではなく、バランスの良い食事を心がければ健康上のリスクはない
ひじきの1人当たりの摂取量が約0.9gですから、普通に食べて4.7gを超えるのは考えにくいですね。
「“1週間当たり33g以上を継続的に摂取しなければ超えない”っていうのは乾燥ひじき?水戻しヒジキ?」
厚生労働省に記載されているのは水戻しヒジキの場合です。
FSAが調査した乾燥品を水戻ししたヒジキ中の無機ヒ素濃度は最大で22.7mg/kgでしたが、仮にこのヒジキを摂食するとしても、毎日4.7g(一週間当たり33g)以上を継続的に摂取しない限り、ヒ素のPTWIを超えることはありません。
ひじきの煮物のレシピを見ますと、ひとり分は大さじ1杯の乾燥ヒジキでした。
乾燥ヒジキ大さじ1杯を水戻しすると約24gです。
ですから、週に1回程度ひじきの煮物を食べるのは問題ありません。
2004年に英国の食品規格庁が、英国民にひじきを食べないよう勧告しました。
それから日本でも、「ひじき=ヒ素危険」が広まっています。
「なぜひじきにヒ素が含まれているんだろう・・・」
疑問に思ったことはありませんか?
そもそも、ヒ素とはどういったものなのでしょうか?
ヒ素って何?なぜひじきに含まれているの?
ヒ素は、自然界に広く存在する元素です。
土壌や海水にも天然由来のヒ素が含まれています。
天然由来のもの以外では、火力発電、金属精錬、廃棄物の処理などの産業活動で空気中に放出されたものがあります。
ヒ素は私たちが生活する環境に普通に存在するものなので、ひじきなどの食品や飲料水が微量のヒ素を含んでいるんですよ。
「他の食品にもヒ素が含まれているなら、なぜひじきだけ危険だと言われたの?」
ひじきが危険と言われる理由は、ヒ素の含有量にあります。
ひじきや他の食品のヒ素含有量はどのくらいなのでしょうか?
ひじきや他の食品のヒ素含有量はどのくらい?
ヒ素は、毒性の弱い「有機ヒ素」と毒性の強い「無機ヒ素」に分類されます。
いくつかの食品の「無機ヒ素の平均値(mg/kg)」をご紹介しますね。
- ひじき(乾物)・・・67
- ひじき(水戻し物)・・・3.6
- こんぶ(乾物)・・・0.19
- わかめ(乾物)・・・0.15
- のり(乾物)・・・0.16
- 玄米・・・0.21
- 精米・・・0.12
乾物のひじきの無機ヒ素の含有量がダントツで高いことがわかりました。
「ひじき=ヒ素・危険」という認識になるのも納得です。
「やっぱりひじき危険じゃん!」
そうではありませんよ。
水戻しひじきの数値を見てください。
水に戻しただけで数値がグンと下がりました。
英国で食べないように勧告されたひじきですが、日本人は英国人よりもたくさんのひじきを食べています。
どうして日本人は平気なのかについて、以下の記載がありました。
水戻しの過程で無機ヒ素は水に溶けだしてヒ素は減少することが知られています。
また、味付けも濃く、一回の摂取量は限られています。
日本の伝統的なひじきの調理方法が、ヒ素の減少につながっています。
海外では水で戻す調理方法や、戻した水を捨てるなどが確立されているのか定かではないそうですよ。
「ひじきは水で戻してるけど、正しい方法なのか自信がないわ」
どのくらいの時間水戻ししていますか?
ひじきのヒ素は正しい調理方法でかなり減らすことができます。
ひじきのヒ素を除去する調理方法は?
ひじきのヒ素を除去する調理方法は、「水戻し」「ゆで戻し」「ゆでこぼし」があります。
それぞれの調理方法のヒ素の減少割合はこちらです。
- 水戻し・・・5割程度減少
- ゆで戻し・・・8割程度減少
- ゆでこぼし・・・9割程度減少
ゆでこぼしだと9割も減少できるなんてすごいですね!
それぞれの調理方法は以下になります。
■水戻し
- ひじきを水に浸す(30分)
- 水洗いをする
■ゆで戻し
- ひじきを水に入れてゆでる
- 沸騰後5分間ゆでる
- 水洗いする
■ゆでこぼし
- ひじきを水に浸して水戻しする(30分)
- 戻した水を捨てる
- ひじきをお湯に入れてゆでる
- 沸騰後5分間ゆでる
- 水洗いする
上記の方法で戻しても、7割以上の栄養は残るので安心してください♪
参考:農林水産省「より安全にひじきを食べるために家庭でできるヒジキの調理法」
私は今まで水戻しをしていました。
30分もしてなかったかもしれません・・・(・・;)
いや・・・かもしれませんじゃなくて、してませんでした(◎_◎;)
これからは「ゆでこぼし」をして9割のヒ素を除去したいと思います!
ひじきは栄養が豊富と言われますよね。
一昔前は妊婦にはひじきをすすめられたものです。
ひじきはどんな栄養が含まれているのでしょう?
ひじきに含まれる栄養素は?
ひじきの主な栄養素(100g当たり)は以下になります。
■ひじきの主な栄養素
- カリウム・・・6400mg
- カルシウム・・・1000mg
- マグネシウム・・・640mg
- リン・・・93mg
- ヨウ素・・・45000μg
- ビタミンA(βカロテン)・・・4400μg
- ビタミンK・・・580μg
ミネラルとビタミンがかなり豊富です。
「他の食品とどのくらい差があるの?」
わかりやすいように、ほうれん草(葉・生)の栄養素の一部と比べてみましょう。
- カリウム・・・690mg
- カルシウム・・・49mg
- マグネシウム・・・69mg
参考:文部科学省「五訂増補日本食品標準成分表(本表)野菜類」
桁が違うほど大きな差がありますね。
日本の食事摂取基準では、ミネラルのうち13種類の指標が定められています。
その13種類は、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、クロム、ヨウ素、セレン、モリブデンです。
これらを全て摂取するのは大変なように感じますが、ひじきには13種類全部が含まれているんですよ♪
とっても体に良さそうですが、ひじきの栄養素にはどういった効能があるのでしょう?
健康維持に役立つひじきの効能
ひじきの主な栄養素で期待される効能はこちらです。
- カリウム・・・血圧を正常に保つ
- カルシウム、リン・・・骨や歯を形成する
- マグネシウム・・・心筋梗塞予防効果
- ヨウ素・・・成長の発育を助ける
- βカロテン・・・強力な抗酸化作用
- ビタミンK・・・止血、骨を健康に保つ
健康維持に必要な効能がたくさんありますね。
栄養を考えてあれこれ食品を摂取するのは難しいですが、これら全てを一度に摂取できるひじきは優秀な食品です♪
栄養豊富なひじきを安全に食べよう!
今回は、ひじきに含まれるヒ素の危険についてお伝えしました。
以下がまとめになります。
- 通常の摂取量であれば、健康被害が問題になる摂取量ではない
- 正しい調理方法で最大9割のヒ素を除去することができる
- ひじきはミネラルとビタミンが豊富
「ひじきはヒ素があるから危険」
主人に言われた時は驚きました。
「妊娠中に結構食べたし、子供の給食にも出てるよー」
「なにより娘がヒジキ大好きだし」
調べるまではちょっと焦ってしまいましたが、適量であれば危険はないとわかったので安心しています。
9割もヒ素を除去できる「ゆでこぼし」は覚えておきたいですね♪
ひじきのヒ素含有量が多いのは事実です。
けれども、正しい調理方法をすれば9割も除去できます。
ちょっとの手間でヒ素が除去できるなら、こんなに栄養豊富な食品を避けるのはもったいないと思いました。
ひじき、美味しいですよね(*^^)v
正しい調理方法で、安全にひじきを食べてたくさんの栄養を摂取しましょう!
あなたとご家族が、ずっと健康でいられますように☆