子供が母親と離れるのを不安に感じる「母子分離不安」。
赤ちゃんが後追いするのも、幼児が幼稚園や保育園に行く時に泣くのも母子分離不安です。
子供は誰しも母子分離不安を経験しながら成長していきます。
しかし、母子分離不安の症状が強いと体調不良を起こしたり登校拒否になってしまう可能性も・・・。
うちの小4の娘は症状が強めの母子分離不安でした。
上の子がいるので赤ちゃんの頃から多くの友達と触れ合う機会がありましたし、1歳頃からは定期的に育児サークルにも参加して同年代の子供たちと触れ合っています。
公園にも毎日のように行きました。
できる限り多くの子供と接する機会を設けていたはずなのに、幼稚園に入園してから母子分離不安は強くなるばかり。
「次第に慣れてくるから」
「年長さんになって下の学年ができたら急に変わるよ」
先生や周りのお母さんのアドバイスもむなしく、年長になっても幼稚園に行きたがりません。
「家族の時間を優先させてお休みされる方はいらっしゃるので、登園は保護者の判断におまかせしますよ」
幼稚園側からこのように言っていただけたので、月に数回は休ませていました。
「ママと一緒がいい」
目に涙をためて訴えてきます。
「小学校生になったら勉強があるから休めないよ」
これだけは言い聞かせて娘ととことん過ごしました。
今でこそ元気に通学している娘ですが、入学してから1年数ヶ月の間は毎日登校に付き合っています。
「一人で教室に入ることができない。先生と一緒なら大丈夫」
毎日、先生が教室に来るまで廊下で待機しました。
安心できる大人が近くにいることが重要だったようです。
「いつまで続くのかわからないけど気長に付き合おう」
もっと長く続く覚悟でしたが、2年生の6月には私がいなくても登校できるようになりました。
1年生の時に先生から「母子分離不安ですね」と言われています。
我が子が「母子分離不安」だと言われた時はかなり衝撃的でした。
なぜなら、
「母子分離不安」=「子供への愛が不足している場合もある」
という認識だったからです。
「母子分離不安の原因はなんだろう・・・」
母子分離不安に悩む親子にとって、原因や症状を理解することは大切です。
今回は、
- 母子分離不安の原因や症状
- 年齢別の対処法
など、母子分離不安について気になることをお伝えします!
「うちの子は母親から離れられないのよー」って思ってる方は一緒に考えてみませんか?
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母子分離不安の原因はどんなことがあるの?
子供の気質
母子分離不安の程度は子供の気質によって違いがあります。
引っ込み思案の子供は母子分離の際にストレスを受けやすく、不安に陥りやすいんですよ。
母子分離不安と気質についてとても興味深い研究がありました。
101名の2.3歳児が母親から離れて週1回の親子教室に参加する経過を1年間観察した研究です。
この研究では、1年間を通して母子分離していた子供を「過分離型」、次第に分離していった子供を「徐々分離型」、分離できたりできなかったりした子供を「一定分離型」、分離が困難だった子供を「不分離型」に分けられています。
101名の子供たちの母子分離型は以下のような結果になりました。
- 過分離型・・・29名
- 徐々分離型・・・26名
- 一定分離型・・・29名
- 不分離型・・・17名
母子分離が困難だった不分離型も結構いますね。
この結果に男女差は見られませんでした。
この研究では、母子関係の測定に使われるQソート法で愛着関係を測定し、「過活動性」「新奇場面の反応(しり込み)」「過敏感性」など、90項目の子供の気質との関係が母子分離不安に及ぼす影響を調べています。
その結果考えられることは以下です。
- 2.3歳児が集団というストレスのかかる環境に置かれると分離不安がおこる
- 「過分離型」の子供は母親が安全基地でない可能性がある
- 「不分離型」は分離不安が強すぎて母親にしがみついている
- 引っ込み思案の子供ほど分離ストレスを受ける
私は、引っ込み思案の子供が分離ストレスを受けやすいという結果にとても納得しました。
母子分離がなかなかできなかったうちの娘はかなりの引っ込み思案です。
学校の個人懇談では毎年、
「授業中に手をあげて発言ができるといいですね」
と言われています。
先生の言われることは最もですが、私としては元気に登校できるだけで万々歳です。
母親に依存できなかった
子供は母親に甘えたい欲求があるものです。
なんらかの原因で甘えたい欲求が満たされず、母親に依存できなかった場合は母子分離不安になる可能性があります。
- 虐待
- 育児放棄
- 兄弟の誕生
- 母親が仕事で忙しくなった
- 母親との別離
このようなことが母親に依存できなくなる要因です。
母親との関係が密接過ぎる
最近は核家族が増えていることから「母親と子供」だけの関係で過ごすことが多くなりました。
父親の育児参加も増えているようですが、ご主人は仕事でほとんど不在だというご家庭も多いでしょう。
祖父母に囲まれて育ってきた子供は、自分の安全基地が母親以外にもあると認識できるようになります。
しかし、母親との関係が全てで育ってきた子供は母親への依存を強くします。
家族の死
祖父母やペットなど、身近な家族の死も母子分離不安を強くする原因です。
「大好きな人と別れる」ことを意識して、母親に対する依存心が強くなります。
環境の変化
転校、引っ越し、入園、入学などの環境の変化も母子分離不安の原因です。
大人でも新しい仕事を始める時や引っ越した時は不安になりますよね。
子供が母親と離れたくない気持ちになるのも最もだと思います。
では、母子分離不安になるとどういった症状が現れるのでしょうか?
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母子分離不安の症状は?
母子分離不安の症状は以下になります。
- 頭痛
- 腹痛
- 吐き気
- 赤ちゃん返り
- 乱暴になる
- おねしょやおもらし
- 抑うつ
- 不登校
妊娠中や兄弟が生まれた時に、上の子が赤ちゃん返りするのは多くのお母さんが経験されていると思います。
「小学校に入ってから突然おねしょをするようになったのよ」
このように言っていたお母さんもいました。
子供は母子分離不安を繰り返しながら集団に入っていけるようになります。
しかし、集団に入ることができないまま思春期を迎えると不登校になってしまう可能性も。
次は、子供が母子分離不安になってしまった時の対処法を年齢別に見ていきましょう。
母子分離不安の年齢別の対処法は?
赤ちゃんの場合
赤ちゃんが後追いを始める時期は生後8ヶ月前後で、1歳半頃までには落ち着くことが多いと言われています。
赤ちゃんがお母さんのことを「いなくてはならない存在」だと認識していることがわかって嬉しい反面、「トイレにも行けない」と思ってしまう時期ですね。
この頃の母子分離不安は、「お母さんはすぐに戻ってくる」「近くにいる」ということを感じさせてあげてください。
トイレに行く時や台所で家事をする時に、「すぐに戻ってくるからねー」と声をかけてあげるだけでも大丈夫ですよ。
「待つことができて偉かったね!」と抱きしめてあげるうちに、母子分離不安がやわらいでいきます。
私の場合、娘が赤ちゃんの時の後追いの対処法が間違っていたのかもしれないと考えています。
「お母さんはすぐに戻ってくる」
と、わからせてあげるのではなく、
「お母さんは絶対に離れない」
という育児方法をしていました。
家事をする時はスリングやおんぶ紐で常に密着していましたし、トイレにも連れていっていたんです。
ちょっとの時間さえ離れなかったことが「密接過ぎる母子関係」を築いてしまった入り口だったように思います。
幼児期の場合
この頃の母子分離不安の多くは、兄弟ができてお母さんをとられてしまったと感じたり、保育園や幼稚園に入園したことで起こります。
下の子が寝ている間に上の子のお子さんとの時間を作ってみたり、保育園や幼稚園から帰ってきたお子さんの話をたくさん聞いてあげてくださいね。
「幼稚園でそんなことができるようになったの?すごいね♪」と、毎日褒めてあげましょう!
学童期の場合
低学年の子供が母子分離不安になってしまうのは、環境の変化に戸惑っているからです。
たくさんの上級生や新しい友達、勉強や登下校など、保育園や幼稚園の時に比べると何もかもが変わるので無理もありません。
子供にとって「信頼できる人のいない学校」は恐怖です。
この時期の母子分離不安は、お母さんが子供と一緒に克服していくことが大切です。
登下校や授業に付き合っていくうちに、「先生や友達も信頼できるかも」と感じるようになります。
無理矢理学校に行かせると、不安感が長引くこともあるのでおすすめできません。
私が娘の登校に付き合っている時に、数人のお母さんも学校にきていました。
給食の時間が終わるまで付きそうお母さん、朝から下校時間まで付きそうお母さんなどです。
今はそのお子さんたちも母子分離不安を克服して元気に学校に通っています。
焦らず一緒にいられることを楽しもう!
今回は、母子分離不安の原因などをお伝えしました。
母子分離不安は小さい子供のほとんどが経験しますが、小学校になってからの母子分離不安は不登校が頭をよぎります。
私の娘が学校に行けなくなった時、
「学校に付き添うなんて甘やかし過ぎる」
こんなことを実家の父に言われてしまいました。
昔の人はそんなふうに考える人もいるんだなーと思って気にしていません。
「いつかは元気に学校に行けるようになるだろう」
私自身が追い込まれると娘も追い込んでしまうと思い、できるだけ気楽に考えるようにしました。
あの時、無理矢理学校に行かせなくて本当に良かったと思っています。
お子さんが母子分離不安になってしまっても、焦らず気長につきあってあげてくださいね^ ^
うちの娘は小学4年生の現在も人見知りです。
近所の子供たちは、
「◯◯ちゃんのお母さん!」
と、話しかけてくれることもありますが、娘が自分から友達のお母さんに話しかける姿を見たことはありません。
近所の友達とは毎日楽しく遊んでいるけれど、学校に通うことはまだ多少の不安はあるようです。
毎朝玄関で「おまじない」のような儀式が必要なんですよ♪
「怪我もご病気もしませんように。嫌なこともありませんように。元気で帰ってきますように」
娘と両手を合わせながら毎朝呪文のように言っています。
この「おまじない」もいつか必要なくなることでしょう(*^^*)
乳幼児の頃の検診時や小学校低学年の頃に、
「育児サークルなど子供が集まるところへたくさん連れて行ったり、色々な経験をさせてあげてください」
と、相談員の方や先生に言われたことがありました。
私は幼稚園教諭と保育士の資格を持っていますので、そういった助言はすごくわかります。
我が子が母子分離不安になるまでは同じように思っていましたから。
いざ我が子が母子分離不安になって感じたことは、
「対処法や原因はその子の気質による」
ということです。
私は赤ちゃんの頃から育児サークルは参加していましたし、リトミックなどの楽しめる習い事も通っていました。
それらの経験は無駄になっていませんが、「同年代の子ども達とたくさん触れ合っていても母子分離になることもある」と、娘の経験から学んでいます。
上の子はガンガン行くタイプではありませんが、通学をしぶったこともなく授業中も発言をするタイプです。
同じように育ててきたつもりでも、兄と妹の気質の違いはかなりありました。
「こうしていないからこうなる」
などを当てはめるよりも、それぞれの子供が持つ気質に合わせて、焦らずゆっくり進んでいくのがいいのではと思っています^ ^
私と娘の体験したことを、少しでも参考にしていただけると嬉しいです。
あなたとお子さんが毎日笑顔で過ごせますように☆